7.2 七つの猫缶

翌朝、目を覚まして時計を見ると、朝の5時だった。まあ無理もない、昨晩は夜8時には寝てしまったから。昨日は1日中、ボーとしていたけど、たくさん寝たおかげで、今日は頭がスッキリしている。やっぱり、猫には睡眠が大切だ。

起き上がり、一通りニュースをチェックした後、渋さんからのメールを確認した。

第6回講義「マネジメント力」事前課題

書籍「7つの猫缶」を読み、感想文を提出しなさい。500ページ以上ある本のため、「計画的に」読み進めること。感想文の提出期限は3週間後。

Webで調べると、7つの猫缶という本は世界的なベストセラーで、ジャンル的には成功哲学、自己啓発などに分類されているらしい。すでに全世界で2000万部以上を売り上げていて、おすすめ自己啓発本ランキングなどでは、だいたい1位になるそうだ。

シンプルな原則に沿い、成功の鍵を握る『7つの習慣』を身につけることで、自分の生き方に劇的な変化がもたらされる」というのが本の要旨で、タイトルの「猫缶」と言うのは、習慣と猫缶を掛けた駄洒落のようだ。3週間で500ページ読まなければいけないということは、1日にだいたい30ページ弱は読まないといけないということか……。そう考えると焦ってきた。朝食を食べると、ワタシは急いで大学図書館に本を借りに行った。

その日から、ワタシは毎日少しづつ7つの猫缶を読み進めた。本は冒頭から、古代の哲学者の言葉を引用して習慣の重要性を説くとともに、成功するために必要な7つの習慣を、3つのカテゴリに分類して説明していた。

1.私的成功
第一の習慣:主体性を発揮する
第二の習慣:目的を持って始める
第三の習慣:重要事項を優先する

2.公的成功
第四の習慣:Win—Winを考える
第五の習慣:理解してから理解される
第六の習慣:相乗効果を発揮する

3.再新再生
第七の習慣:刃を砥ぐ

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「第一の習慣 主体性を発揮する」には、周囲の状況や環境に左右されずに自分で状況を改善する行動を起こすこと、自分の行動は自分自身の決定と選択によって決まるもので、その責任を自分で引き受けることがスタートとなる、と書かれていた。その中で引用されていた

主よ、変えられることを変える勇気を、変えられないことを受け入れる平和を、そしてその区別をつける知恵を与えたまえ

という牧師の祈りに、ワタシの心は強く惹きつけられた。キャッツアイに起きた出来事は、ワタシにはどうにもできない。だから、それは事実として受け入れるしかない。では、ワタシにできることは何か。ケビンのために、力になれることはないのだろうか。

「第二の習慣:目的を持って始める」には、終わりを思い描くことから始めること、つまり自分のお葬式の場面を想像して、誰に集まって欲しいのか、自分はどんな猫だったと言って欲しいのかを想像することから始める、という内容が書かれていた。最後の姿を思い描きながら、自分自身をどう創り上げたいかを考えていくというのは、「自己理解力」の講義で渋さんが話していた内容と、大いに重なるところがあった。

「第三の習慣:重要事項を優先する」では、自分にとって本当に重要なことに、時間を優先的に割り当てることの重要性が説かれていた。特に、緊急ではないが重要な活動に、どれだけ時間を割り当てられるかが、重要な鍵を握ると述べていた。夢の実現に向けた計画や準備、友達や家族と過ごす時間、地域社会との関わりなどは重要だが、すぐに困るわけではないので、ついつい後回しにしてしまう。しかし、自分が重要と思えることに、意識して優先的に時間を割り当ていかないと、すぐにメダルを使い果たしてしまうと、渋さんも言ってたな。自分にとっての重要なこと……自己分析シートをせっかく作ったのに、失くしてしまったけど……。

「第四の習慣:Win—Winを考える」と「第五の習慣:理解してから理解される」の2つの章は、大まかに言えばコミュニケーションに関する話で、サラの講義や、猫を動かすに書いてある内容と重なることも多かった。

そこまで読んだところで、突然、渋さんからメールが来た。

【提出期限変更】 第6回講義「マネジメント力」事前課題 


7つの猫缶の感想文について、提出期限をやっぱり今日にするよ〜ん。
今日の夜10時までに、感想文をメールで提出すること

ええ!? 計画的に読めと言っておいて、そんなのあり?

残りページを確認するとまだ150ページぐらいある……。今日は夕方まで、ボランティア活動を入れてしまったから、感想文を書くので精いっぱいで、残りページを読む時間はない……。しばらくどうしようか考えたが、考えても仕方がないので、残りのページは斜め読みすることにした。

「第六の習慣:シナジーを創り出す」については、章の最初と最後だけの2~3パラグラフだけを読み、概要を掴むことにした。

「第七の習慣:刃を研ぐ」は、読んで見ると特に難しいことはなかった。猫は毎日のように爪を研いでるわけだし……と思いながら、飛ばし読みをしていたら、ものの10分で読み終わることができた。その日は一日中、時間に追われていたが、それでも夜までになんとか感想文を書いて、期限ぎりぎりでメールを送付することに成功した。